課題と施策を同じ分野で比べる
管理職に占める女性の割合が低いことと、採用時点で女性の割合が低いことは、どちらも男女差を表しますが、業務上の原因や対応策は異なります。施策の件数だけを数えると、採用に関する施策が多い計画を、登用の課題に対応していると評価してしまう可能性があります。先に課題を分野別に把握し、施策がどの分野に対応するかを見ます。
対象は従業員101人以上で必要な情報を公開した日本企業16,888社です。採用、管理職への登用、定着、長時間労働の指標を業種・規模別に捉え、2種類の行動計画に含まれる33,776文書の施策を分類して、企業ごとの課題と照合しました。
課題が大きい分野では、対応する施策が記されやすい
主分析で課題指標を第25百分位から第75百分位に動かすと、施策の記載確率の変化幅は、その課題に対応する施策で、対応しない施策より8.07パーセントポイント大きくなりました。比較しているのは、計画に何か書かれやすくなるかに加え、その変化が対応施策にどれだけ集中するかです。
この差は、企業が課題の大きい分野に対応する施策を計画に盛り込む傾向を示しています。一方、文面が似ているほどこの対応が弱くなるという仮説や、登用の課題が大きい企業ほど勤務・復職支援だけを記すという仮説は、今回の分析では支持されませんでした。公開情報を用いた横断比較なので、課題の大きさが施策の選択を引き起こしたとまでは言えません。
計画の対応と実際の成果を区別する
登用に課題がある企業が、登用候補者の育成を計画に書いたとします。計画上の対応は確認できますが、育成を誰が受けられたか、実際に候補者が増えたかは、同じ文書からは分かりません。施策の実施や効果を評価するには、実績の記録とその後の指標が必要です。
その区別があるからこそ、行動計画は出発点として使えます。どの課題を重く見て、どの施策を選んだかを確認しておけば、後から実績と突き合わせるときに、何を確かめるべきかが明確になります。